芸術家の元気は、社会の元気。
芸術は、多くの人に感動や喜び、癒しを与えてくれます。
音楽や演劇やダンスなど、身体で表現をする芸術家は、いつも最高のパフォーマンスを目指し、日常生活のレベルを超えた姿勢や動作で身体を酷使することもしばしばです。
だからこそ、芸術家が才能を存分に発揮するには、練習や経験の積み重ねだけではなく、表現方法や活動環境にあった”ヘルスケア”が欠かせません。
ところが、日本の芸術家をとりまく活動環境の中では、”芸術家が必要とするヘルスケア” *Aになかなか手が回らないのが実情です*B。
そこで、芸術家のくすり箱では芸術家の職業的なケガの予防やよりよいパフォーマンスのためのコンディショニングなど、ヘルスケアの面から芸術家のサポートを行います*C。
芸術家が元気に活躍し、多くの人々が豊かな心を創造できる社会へ。
芸術家のくすり箱は、芸術の持つ力を信じ、芸術を通じた心豊かな社会の実現に貢献します。
*A 「芸術家のヘルスケア」
一般的に「ヘルスケア」といえば、病気の予防や治療、そして体調を整える健康管理をいいます。
しかし、芸術家は、いわゆる日常生活の域をこえた身体の使い方をしたり、不規則な時間帯で活動したりということが多く、一般的なヘルスケアがあてはまらないことがあります。また、ケガをして活動を休むことになった場合、長年かけて磨いたスキルを取り戻し復帰するには、専門的な活動特性に応じた治療や再発予防を想定したリハビリが必要になることもあります。
つまり、芸術家には人としてのヘルスケアにとどまらず、職業的にリスクの高くなるケガの予防や復帰に適した治療、またパフォーマンスを高めるためのコンディショニングやトレーニングが必要なのです。
芸術家のくすり箱では、「芸術活動を行う身体」をよりよい状態にする、幅広い意味での心身へのアプローチを総合的に「芸術家のヘルスケア」としています。
*B 「芸術家はヘルスケアに手がまわらない」
当団体の「芸術家の健康に関する実態・ニーズ調査」(2008)によると、芸術活動によって起こる怪我・故障で治療経験のある人は、「バレエ」92.2%、「演劇」64.2%、「オーケストラ」49.4% 。その治療・リハビリで困ったことは「金銭的負担」(治療費がかかる/治療等のために仕事を休むと収入を失うことに直結/健康保険のきかない治療に頼らざるを得ず、負担が大きい)、「芸術家の専門性に合った治療・リハビリに出会えない」(一般的な治療やリハビリの目標となる日常生活レベルの回復では、芸術活動への復帰には至らなかったり再発してしまうことがあり、その活動の特殊性を理解して治療やリハビリに対応してもらうことが難しく、不満や不安を抱える)という声が多く寄せられました。
また、プロの芸術家の多くが、職業病的な故障や不調を抱えている中、怪我や故障を予防したり、パフオーマンスを向上させるために「トレーニング法」や「身体の構造」を知りたいというニーズがあるものの、現実的には、収入が不安定であったり、ハードワークで時間がなかったりする活動状況では、自身に必要なものを見極め、時間と費用をかけて取り組むことはなかなか難しい実態が浮かび上がってきました。
*C 「芸術家のくすり箱の役割」
「芸術家のヘルスケア」を普及するため、私たちは「芸術家のヘルスケア」に関心の高い医療関係者・トレーナーとのネットワークを築き、「芸術家のヘルスケア」に取り組む芸術家とつなげる拠点として活動を展開しています。活動内容はこちら