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[食事力シリーズ]タフなパフォーマーになるための食生活

"タフ(tough)"という言葉は「じょうぶな」「たくましい」などと訳されます。しかし、芸術家にとって"タフ"であることは、これだけの定義では言い切れないところがあります。

そこで、このコラムでは、「芸術家にとって"タフ"であるとは何か?」「それを実現することに食生活がどう関わるのか?」といったことについてお話しましょう。

"タフ"な芸術家は、5つのパワー(力)を持っている

 本番で、"疲れた表情"を見せることはNG!芸術の分野によって、本番で求められるパフォーマンスは違いますが、基本となるパワーは、次の5つではないでしょうか。

  • 1. 体力:ハードな動きが要求されるときでも、バテない体力、底力
  • 2. 精神力:どんな環境でも、パフォーマンスに集中できる強い精神力
  • 3. 持久力:長時間の舞台、連続公演でも、モチベーションを維持する持久力
  • 4. 美(魅)力:美しく装い、エレガントな所作をつくり出す力
  • 5. ゆとり力:心身ともに、ゆとりのある立ち振る舞いができる力

"タフ"な芸術家をつくるのは?


タフな芸術家は、日々の生活やレッスンからつくられる、ということは言うまでもありません。食事や栄養面だけで、タフな芸術家をつくり上げることはできませんが、1日3回の食事や軽食(補食)は、日々の生活やレッスンに大きな影響を与える要素のひとつです。ふだんの食生活を楽しみ、充実させていくことは、結果的に、"タフ"な心や身体をつくることにつながります。

また、芸術作品の制作では、「自由な発想」や「個性的」であることが求められることが多いと思いますが、芸術活動を支えるヒトの身体は「自由気まま過ぎる不規則な生活」に適応できません。そのため、日々、一定の生活リズムを刻んでいくことも大切です。食事や睡眠は、そのリズムを生み出すメトロノームでもあります。

5つのパワーを身につける食生活の意味

  • A. エネルギーを補給し、強く美しい心と身体をつくる。
  • B. 休息や安らぎを補給し、心と身体をリフレッシュする。
  • C .同席する人とのコミュニケーションから、明るい表情や動作を生む。
  • D. 生活リズムをつくり、心と身体のコンディションをととのえる。

  • →以上のことから、豊かな心とタフな身体をつくる。


まずは、上記のポイントが、ふだんの生活にどの程度とり入れられているかを振り返るために、「タフな芸術家をつくるセルフチェック表」で、ご自身の食事・生活習慣の充実度(実行度)を確認してみましょう!


タフな芸術家をつくるセルフチェック表
── 食事・生活習慣編 ──
   年  月  日
★以下の項目をチェックしてみましょう。
自分の体重を定期的(週1回以上)にはかっている。 (はい・いいえ)
自分のベスト体重を知っている。(たとえばBMI、体脂肪率) (はい・いいえ)
自分に似合う色やデザインの洋服(季節に応じたもの)を持っている。 (はい・いいえ)
食事のとき、献立の内容(主食・主菜・副菜・くだもの・乳製品などのバランス)をととのえるようにしている。 (はい・いいえ)
1日に、何をどのくらい食べたらよいのか、自分なりの基準(ものさし)を持ち、実行している。   (はい・いいえ)
外食や市販の弁当を選ぶとき、1日に必要な食品の補充を心がけている。  (はい・いいえ)
レッスンの運動量が多いときには、レッスン前・後に軽食(補食)をとっている。 (はい・いいえ)
食べたものを記録すると、食事の管理がしやすいことを知っている。 (はい・いいえ)
1日3回、決めた時刻に食事をとる習慣がある。(週4日以上)(本番のときなど、特別なイベントを除く) (はい・いいえ)
1日に1回以上、家族や友人とゆったりと食事をとっている(30分以上かける)。  (はい・いいえ)
気持ちよく食事できるよう、食事にふさわしい場所を選び、食卓はきれいにととのえるようにしている。 (はい・いいえ)
毎日の排便の時刻は、だいたい決まっている。 (はい・いいえ)
毎日の睡眠時間は、十分に確保できている。
 [現在の平均的な睡眠時間は 約(    )時間/日]
(はい・いいえ)

いかがでしたか?
①~⑬の項目は互いに関連しあっていますが、それぞれ「5つのパワーを身につける食生活の意味」のA〜Dに対応しています。各項目の実行度が高い程、「芸術家としてのタフ度が高い」食事・生活習慣があることになります。具体的な実践方法については、下に示したコラムも参考にしてみてください。

◆①~⑧は、おもに「A.エネルギーを補給し、強く美しい心と身体をつくる」ためにできることです。(⑦は、ハードなレッスンや舞台をこなす俳優やダンサーの場合に必要な項目です。活動量が少ないジャンルのパフォーマーにおいては、必須ではありません)

>> 参照コラム
「不規則な生活でも元気なからだを作る食事」
「本番前・後の効果的な食事のとり方」
「本番期間でも上手にパワーを補給する食事のコツ」
「パフォーマンスを高める!『ウエイトコントロール』の基本」

◆⑨~⑪は、おもに「B. 休息や安らぎを補給し、心と身体をリフレッシュする」「C. 同席する人とのコミュニケーションにより、明るい表情や動作を生む」ことにつながります。

>> 参照コラム
「夜型でも大丈夫!コンディショニングは自分流」

◆⑫~⑬は、おもに「D. 生活リズムをつくり、心と身体のコンディションをととのえる」ためのポイントです。

疲れにくい身体をつくる食事

レッスンや舞台での運動量が多い日・ストレスの多い日は、身体に必要なエネルギー量が多くなります。また、それに伴ってビタミン・ミネラルなどの必要量も高まります。

長時間のレッスンで、食べる時間がないときには、ゼリー飲料などをとるのも一案です。ゼリー飲料1本が約180kcalのものであれば、おにぎり1個分くらいのエネルギー量が補給できます。......とはいえ、1日に1回くらいは、ゆっくりと食事やティータイムを楽しみたいもの。そこで、この後は、疲労回復のためのビタミン・ミネラル補給に着目したアイディアをご紹介します。

"ビタミン・ミネラルUP↑↑" のひと工夫

タフな身体をつくるためには、エネルギー源である主食に、主菜と副菜のおかずを組み合わせて、しっかりと食べたいところです。

>> 参照「不規則な生活でも元気なからだを作る食事」


 いつもの食事で、こんなひと工夫(CHANGE)をしてみてはいかがでしょうか。疲労回復を促すビタミン・ミネラルがとり入れやすくなります。

■関連記事:
 ・「パフォーマンスを高める!『ウエイトコントロール』の基本」
 ・[食事力シリーズ]本番期間でも上手にパワーを補給する食事のコツ
 ・[食事力シリーズ]夜型でも大丈夫!コンディショニングは自分流
 ・不規則な生活でも元気なからだをつくる食事
 ・本番前後の効果的な食事のとり方



執筆:《パフォーマンス 食サポート》チーム(岸昌代、吉田美代子)  制作:NPO法人芸術家のくすり箱 [2015.6作成]