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[食事力シリーズ]本番期間でも上手にパワーを補給する食事のコツ

 緊張感が高まり、パフォーマンスのことで頭がいっぱいになる、リハーサルや本番のときでも、食事によって落ち着きやパワー、良好なコンディションを確保することができます。その基本については、「本番前・後の効果的な食事のとり方」でご紹介していますので、今回は、より現場に即した具体的な食事のコツお伝えします。

事前の準備から本番終了後までの食事のコツ

本番前にできること(準備)

 本番を迎える会場や、会場周辺の状況、お店や公園の位置などを調べておきます。なぜこれが食事に関係するのか?というと、リハーサルや本番のときは自由に外を歩き回って、外食したり食ベ物を買ったり、ということができないことが多いため、あらかじめ、食べ物や飲み物を調達できるところや、食事がとれる場所、休める場所を想定しておくことが、食事の質にかかわってくるからです。こうした下調べをしておくと、本番期間中の慌ただしいなかでも自分のペースで過ごすことができ、気持ちに余裕が生まれます。

会場周辺のリサーチから......

  • 会場の周りには、どんなお店(飲食店、コンビニ、スーパーなど)があるのか、気分転換をするときの公園や河原、万が一のときの薬局などをインターネット等で調べておく。
  • →自分のお気に入りのスポットを見つけておくと、会場入りしてからの楽しみが増えます。

  • 本番のときに持っていくものをリストアップしておく。リストは随時バージョンアップを!
  • →衣裳やメイク道具、食品などの必需品だけでなく、気持ちを静めたり、モチベーションを高めてくれる音楽♪、使い慣れた歯みがきセット、ジョギングする人はシューズ、愛読書なども忘れずに。

楽屋にキープしておきたいもの

 楽屋にお弁当などを用意していても、落ち着いて食べられない! なんてこともありますよね?! 
 そんなときのために、下図を参考にちょっとした食品や飲み物などをキープしておいて、空いた時間に食べられるようにしてみてはいかがでしょうか。
  楽屋に冷蔵庫があれば冷たいものが保存できますし、電気ポットや電子レンジがあれば温かい飲み物も準備しやすくなります。飲料は、ペットボトルや缶に入ったものや、ティーバッグ、粉末のものなど、さまざまな形態のものがありますので、状況に応じて使い分けると便利です。楽屋に運ぶ荷物が多いときには、粉末のものを持参するとラクチンです。


「衣裳」や「全身メーク」に影響しない軽食

 本番では、衣裳もパフォーマーの身体の一部となります。衣裳を身につけているときには、「飲食禁止」とされているケースもありますが、長時間衣裳を身につけている場合、衣裳を汚さない配慮をして、「パワーだけは補給しておきたい!」というのが、私の本音です。スポーツ栄養学のセオリーでは、運動前に脂肪を多く含む食品はすすめられていませんが、パフォーマーが、本番前に少量食べるのであれば、チョコレートやナッツもOKです。
下記に「料理・食品選びのポイント」「料理・食品の食べやすい形態」をご紹介します。

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本番が終わったら......

本番が終わると、きっと心地よい充足感を味わうことができるでしょう。本番後は、ゆったりと食事をとりたいですよね。本番でハードに心身を使った後は、速やかに食事をとることが、その後の疲労回復にもつながります。本番終了後、ごあいさつやミーティングなどが続いて、なかなか食事をとることができないときには、楽屋にキープしておいた軽食などをとってはいかがでしょうか。

本番が1回で終わる場合も、連日つづく場合も、1日の終わりは、ぜひリラックスした時間をお過ごしください。本番がつづくパフォーマーにとって、「本番が終わった日は、次の本番の前日」となります。短時間であっても、休息する時間を大切にしてくださいね。

リハーサルや本番に備えてトラブルを予防する食事

疲労が蓄積していると、いつもより免疫力が低下し、予期せぬ体調不良を起こすことがあります。そこで、本番に穴を開けないため、力を発揮するために、トラブルを予防する食事をご紹介します。


●風邪・胃腸炎などの感染症を防ぐ
"手洗い・うがい"をこまめにしましょう。食事前には、石けんを使った手洗いを忘れずに。 万が一に備えて、公演や撮影の数日前から本番終了までは、生の肉や魚介類(貝類などの刺身や酢の物)は、食べないようにしましょう。

●食欲がなく、いつものように食べられない人は......
水分補給をするだけでも、リラックスできたり、リフレッシュできたりします。いつもどおりに食べられなくても、大丈夫。無理せずに、食べたいもの、食べやすいものを選んで食べましょう。前段でご紹介した「楽屋にキープしておきたいもの」なら、手軽に食べられてエネルギー補給もできます。

●下痢しやすい人は......
食事は、ごはんなどの主食を中心に食べるとよいでしょう。揚げ物など油をたっぷり使った料理は、控えめに。水分補給は、牛乳やオレンジジュースよりも、水、お茶類、スポーツ飲料などが適しています。みかんなどのかんきつ類には下痢を助長する作用があるのに対して、りんごは下痢を抑えてくれる作用があります。そのため、果物をとるのであれば、りんごのほうが向いています(人によります)。 下痢が長引くようであれば、お粥(レトルトでもOK)、スポーツ飲料などを中心にとって、胃腸の負担を軽くしましょう。

●便秘になりやすい人は......
 なによりも定刻にトイレに行くことが大事。そのうえで、水分補給をこまめにしましょう。みかんなどのかんきつ類やジュースをとることをおすすめします。お腹にガスがたまっているようなときには、食物繊維の多いもの(玄米、豆類、いも類、バナナなど)は控えめにします。
 
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執筆:《パフォーマンス 食サポート》チーム(岸昌代、吉田美代子)  制作:NPO法人芸術家のくすり箱 [2015.2作成]