Dancers Training – for Your Best Performance –
理想の踊りに近づくために!
ダンサーのお悩みにトレーナーの視点から改善法をご提案します
Photo:バレエチャンネル主催 〈Spotlightプロジェクト〉より 玉井千容 ©︎瀬戸秀美
うまく踊れるように、怪我や不調をさけるためにと、ダンサーにとっていわゆるレッスンとは別のトレーニングが役立つということはもうご存じですね。
でも自分にどのトレーニングやコンディショニングが役立つのかピンとこないという方は多いのではないでしょうか?
ここでは、みなさんのお悩み解決に活かせるトレーニングを、「DANCERS TRAINING – For Your Best Performance」(YouTube)などから抜粋してご紹介します。
怪我をしていない方向けのご案内ですので、痛みがある方は、医療者にご相談のうえ、ご利用ください。また、バレエテクニックとして完成度を高めるには、さまざまな要素が関連しますので、客観的に現状をチェックできる指導者やトレーナーのアドバイスを得て実施して効果を高めてください。
◎目次
お悩み別トレーニング
お悩み1 | 上げた脚の膝やつま先が伸びない
● 原因のチェック
上げた脚の伸ばす力が弱い
● 改善法
体育座りドーミング ……… 【 D1 】
アイソレーション ……… 【 こちら 】
● 原因のチェック
股関節の周りや太ももの筋肉のこわばり、硬さがある
● 改善法
90/90 マーチング ……… 【 A3 】
柔軟性アップ ……… 【 こちら 】
● 原因のチェック
軸脚のバランスが不安定
● 改善法
ダンサーズランジ ……… 【 E1 】
ダンサーズデッドリフト ……… 【 E2 】
視覚を頼りすぎずに軸を取る ……… 【 こちら 】
お悩み2 | 脚が高く上がらない
● 原因のチェック
体幹や軸脚が弱く、上体や骨盤が傾いている
● 改善法
Baby Getup ……… 【 A2 】
片脚ターンアウト ……… 【 D3 】
● 原因のチェック
上げる脚の股関節周りの筋力が弱い
● 改善法
クラムシェル ……… 【 B1 】
サイドレッグリフト ……… 【 B2 】
● 原因のチェック
骨盤をまず傾けてから脚を上げている
● 改善法
Baby Getup ……… 【 A2 】
90/90 マーチング ……… 【 A3 】
アイソレーション ……… 【 こちら 】
お悩み3 | 高さのキープが難しい
● 原因のチェック
上げる脚の付け根(股関節前)が詰まっている感じがする
● 改善法
クラムシェル ……… 【 B1 】
ローオブリークシット ……… 【 B3 】
アイソレーション ……… 【 こちら 】
● 原因のチェック
体幹や軸脚の筋持久力が足りず疲労する
● 改善法
プランク肩タッチ ……… 【 C3 】
片脚ターンアウト ……… 【 D3 】
ダンサーズデッドリフト ……… 【 E2 】
● 原因のチェック
上げた脚の筋持久力が足りず、すぐ疲労する
● 改善法
クラムシェル ……… 【 B1 上級 】
片脚ターンアウト ……… 【 D3 】
キープする力 ……… 【 こちら 】
【 A1 】〜【 E5 】内の記号は、YouTubeトレーニング動画「DANCERS TRAINING For Your Best Performance」に掲載の記号です。
ビギナーはここから
初心者の方は、上記のトレーニングの前に、こちらもチェックしてみましょう!
Point 1 視覚を頼りすぎずに軸を取る
バランスをとるために知らず知らず鏡を見るなど視覚で調整をしがちですが、身体の機能をしっかり働かせることが必要です。
♦ トレーニング例 ♦
目を閉じて20秒片脚バランスをします。パラレルパッセで骨盤を傾けず、おへそは立ち足の真上にある位置でキープすること。
Point 2 高さの前にポジションチェック
股関節を痛めないように、まずはパッセから90度の高さまで、下絵のポジションをキープできるよう練習します。上げる脚は、真横よりも やや前に。
Point 3 柔軟性アップ
脚脚を上げるには、股関節周りと脚の筋肉の硬さの改善から。硬さを改善するために、ストレッチとマッサージを合わせて行います。ストレッチで得た柔軟性を持続させるには、腰・股関節の筋力強化のトレーニンングも大切です。 例)下記の「キープする力」のトレーニング例
♦ トレーニング例 ♦
股関節は、静的ストレッチを。脚の裏側(ハムストリング)や内ももを伸ばし30秒キープ、これを3回繰り返します。硬さをほぐすには、お尻周りのマッサージが重要。ボールやストレッチポールなどのグッズも便利です。
上級者のプラスα
上級者がテクニックを磨くには次のポイントも見逃せません!
Point 1 キープする力
筋持久力は、脚を上げた状態で疲労するまでキープし、その継続時間を長くすることを目標にします。
♦ トレーニング例 ♦
バーなどに無理なく足を上げた状態から少し脚を持ち上げ、体幹、ターンアウトの筋肉や前・内ももの筋肉などが収縮した状態でキープし、筋肉が震えてきたら脚を下ろします。お尻下部にある、ターンアウトの筋肉が収縮する感覚があることを確認してください。その感覚が分からない、または弱い場合は下記の「アイソレーション」にあるトレーニングを行ってください。
Point 2 アイソレーション
アイソレーションとは、必要な部分だけ動かすことです。無駄な動きをなくし、余分な力を抜けるようになることを目標にします。
♦ トレーニング例 ♦
横向きに寝てデヴェロッペをします。
❶ 上の脚がパッセを通って膝を持ち上げる時、「骨盤が頭の方に傾かない程度に」膝の高さを止める。
❷ 膝を伸ばす時に、骨盤が体の前や後へ「傾かないよう、体幹を使って安定」させる。
❸ ももや付け根の前の筋肉で脚を上げるよりも、「お尻下部の深い筋肉を使って、ターンアウト」する意識で。筋力強化のトレーニングの場合は、疲れるまで繰り返し、それを3セット行います。
Point 3 コーディネーション
上げた脚をコントロールして下ろしたり、次の動きにスムーズにつなげるために、体幹の強さ、筋持久力に加え、上体・手脚とのコーディネーションが必要です。例えば、呼吸は一般的に、息を吐くときに力が入りやすく体幹が安定し、吸う時ときに力を抜くことで次へ動きやすくなるので、コーディネーションの助けになります。
制作:NPO法人芸術家のくすり箱(2021.8) 監修:鍋田友里子(理学療法士 日・米) 協力:バレエチャンネル 協力・デザイン:サウスウォーク株式会社 助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京