芸術家にとってのウエイトコントロール
体重のコントロールが必要になる動機やタイミングは、いろいろと考えられます。例えば、A.美しい体型になるため(”舞台映え”する体型になるため)
B.役柄に合わせた体型になるため
C.役柄に合わせて増やした(あるいは減らした)体型を元に戻すため
D.健康管理のため
E.キレのあるシャープな動きを生み出すため など。
上記A~Dのケースでは、体重を「減らす」場合と「増やす」場合の両方が考えられます。また、Eは「減らす」ことが想定されます。
ウエイトコントロールのための”3ステップ”
A~Eのように動機やタイミングが違っても、ウエイトコントロールのためのプロセスは同じ。下記の3ステップで実現します。- ステップ1:具体的なゴール(目標)を決める(いつまでに、どのくらい増やすのか、減らすのか)
- ステップ2:計画を立てて、行動する(食事・運動など)
- ステップ3:経過を記録する
まずは「ステップ1」のゴールを決めるときのポイントをお伝えしましょう。
ゴールを決めるには
パフォーマンスや健康を考えたとき、ゴールをどこに設定しますか。体重?体脂肪率?その数値は、どのくらいにしますか?体格や、なりたいイメージなどはひとりひとり違いますので、唯一の正解、というものはありません。以下(1)(2)のような方法で、ご自分の体格やパフォーマンスを確認しながら、具体的なゴールを設定していくことをおすすめします。
具体的なゴールを決めて、計画的に
(1)「健康づくりの目安(指標)」を確認する+
(2)「自分の感覚を使って」現状を確認し、目指すイメージを考える
↓
★ゴールを決める!
(例)
- ○月○日の公演までに、○㎏になる!!
- ○月○日までに、◇◇の衣装が似合う体型になるため、ウエストを5㎝減らす!!
(1)「健康づくりの目安(指標)」を確認する
●BMI(体格指数)= 体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)→18.5~25.0㎏/㎡が「ふつう」・18.5未満は「やせ」・25.0以上は「肥満」ととらえます。(日本肥満学会)
●IBW(標準体重)= 身長(m)×身長(m)×22
→ 最も病気にかかるリスクが少ない値とされています。(日本肥満学会)
●体脂肪率:家庭用の体重計ではかる場合は、使用説明書に掲載されている値を目安にします。
→ 体脂肪率をはかることで、身体の組成を知ることができます。具体的には、脂肪組織 (エネルギー源、ホルモンの生成、貯蔵庫としての働き)と除脂肪組織(骨、内臓、筋肉・神経など)の割合がわかります。
●腹囲:男性 85㎝未満、女性90㎝未満(厚生労働省) →値が大きくなると、内臓脂肪が蓄積しているサインです。
★ベルトの穴1つ分の間隔は、約2.5㎝に相当します。
★体重が1㎏変動するごとに、腹囲は約1㎝変化します。
上記は、あくまでも一般的な目安です。誰もが「標準体重」をゴール(目標の体重)に設定する必要はありません。標準体重よりも体重が多いほうが体調のよい人もいれば、少ないほうが体調のよい人もいます。その人によって、目指すべき体重や体脂肪率は異なります。
アスリートであれば、競技特性によって目指す体重や体脂肪率が異なります。芸術家も活動分野によって、体重・体脂肪率のゴールは異なるでしょう。ご自分の「パフォーマンスが一番よい状態になること」を目指して、ゴールを決めていきましょう!
(2)「自分の感覚を使って」現状を確認し、目指すイメージを考える
ご自分の身体の感覚で、パフォーマンスの現状と目指すところ(理想)の違いをチェックすることも大切です。活動分野によって、求められるパフォーマンスは異なりますが、下記に、パフォーマンスをセルフチェックするポイント(例)を挙げてみました。〔パフォーマンスをセルフチェックするポイント(例)〕
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ある女優さんのケースを例に”3つのステップ”の流れをみてみましょう
本番までに”美しい体型になりたい”女優さんの場合。ステップ1:具体的なゴール(目標)を決める
【目標】「3ヶ月後の本番までに、体重62.5㎏(-2.5㎏)になる!」
ステップ2:計画を立てて、行動する
【計画】
- 体重を1㎏減らすと、腹囲も1㎝細くなります。体重を1kg(あるいは腹囲1㎝)減らすためには、ふだんの食事(in)と身体活動量(out)のバランスを-7,000kcalとなるようにしていく必要があります。
- 女優の美映子さんは、3ヶ月間で、体重を-2.5㎏、腹囲を-2.5㎝とするため、1日あたり-194kcal〔 (7,000×2.5)kcal÷90日〕すると、目標が達成できる計算となります。
- 今までの「”食べ方(食習慣)”を変える」ことで、食事からとるエネルギー量を減らし、「”動き方”を変える」ことで、消費エネルギー量を増やしていきます。
★「食べ方を変える」ためのアイディア★
- トンカツ(豚ロース肉90g)→ 生姜焼き〔-150kcal〕
- マヨネーズ 大さじ2杯→大さじ1杯〔-80kcal〕
- マヨネーズ 大さじ2杯→ノンオイルドレッシング〔-130kcal〕
- おにぎり2個→おにぎり1個〔-180kcal〕
- メロンパン→あんぱん〔-120kcal〕
- ポテトチップス1袋(大)60g→1袋(小)30g〔-170kcal〕
- 缶コーヒー(砂糖入り)→ブラックコーヒー・お茶〔-60kcal〕
- ビール 中ジョッキ2杯→ビール 中ジョッキ1杯〔-200kcal〕
★「動き方を変える」ためのアイディア★〔 〕内の消費エネルギー量は体重65kgの場合
- バス通勤→歩いて通勤(速歩)15分〔-50kcal〕
- エレベーター利用→階段利用 3分〔-25kcal〕
- テレビを見る→掃除機をかける・モップかけ 10分〔-30kcal〕
- ベッドでゴロゴロ→ゴルフの打ちっぱなし 20分〔-45kcal〕
- ソファーでまったり→キャッチボールまたはピアノ演奏 20分〔-35kcal〕
- 散歩→ジョギング 30分〔-135kcal〕
(改訂版 『身体活動のメッツ(METs)表』)
※消費エネルギー量は、スマートフォン・携帯電話のアプリや活動量計を使ってはかることもできます。
「結構、がんばったから効果が出たかな?」「食べすぎちゃったかな?」ということを確認するためには、体重を毎日決まった時刻(できれば朝、朝食前)にはかることをおすすめします。グラフなどにつけて記録すると、モチベーション↑↑にもなります。
ご自身の体重(あるいは体脂肪率)やコンディションをチェックしながら、ご自分にとってのベストコンディションをつくっていきましょう!!
低エネルギーにするための食事ポイント
■料理の組み合わせポイント |
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執筆:《パフォーマンス 食サポート》チーム(岸昌代、吉田美代子) 制作:NPO法人芸術家のくすり箱 [2015.4作成]