芸術家のくすり箱は、ダンサー・音楽家・俳優・スタッフの「ヘルスケア」をサポートし、芸術家と医師・治療師・トレーナーをつなぐNPOです。
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ノロウィルス対策~現場で出来ること・気をつけること

ノロウイルス感染症とは

ノロウイルスは急性胃腸炎の原因になるウィルスで、発熱と激しい嘔吐と下痢などの症状を引き起こします。 ノロウイルスは少量でも感染力が非常に強いのが特徴で、主に冬に流行しますが、年間を通じて発症し、一度かかっても何度でも感染してしまいます。

予防法=二次感染を防ぐ意識と行動

ノロウィルス感染症にかからないための特効薬はなく、免疫力を高める日頃の行動・心がけが大事ですが、出演者・スタッフや観客など多くの人が集まる芸術の現場では感染者が出た時に、いかに二次感染を防ぐかが芸術関係者にとって重要といえるでしょう

食事前の手洗い

このウィルスの感染経路は殆どが経口感染です。手指についたウィルスを口に運んでしまわないよう、しっかりと石けんで洗い流しましょう。なお、ノロウィルスはアルコールに強いため、消毒用エタノールによる消毒は効果が薄く、手洗いの代用になりません。アルコール消毒は、他のウィルス感染予防やすぐに手洗いが出来ないような場合に、手洗いの補助として使って下さい。

嘔吐者がいたときの適切な処理

ノロウイルスに感染した人の便や吐物を処理する時に二次感染をしてしまう恐れがあります。感染を広げないために適切に処理しましょう。下記「嘔吐物の処理方法」参照

食事

ウィルスに感染した人が食品に触れて感染を広げることが多いため、飲食店、仕出し弁当などから一度に大人数の感染者がでてしまいます。調理する際はしっかり手洗いをし、加熱が必要なものはしっかり火を通しましょう(85度で1分以上で死滅)。

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かかってしまったとき

ノロウィルスに感染した際の症状は激しい嘔吐、発熱、腹痛、下痢です。潜伏期間は1~2日です。

1)一般療法

激しい嘔吐と下痢のため脱水になりやすいので、少づつ水分を補充します。吸収しやすいイオン水や経口補水液が最適です。飲水できないほど重症時は、病院を受診して点滴を受けることをおすすめします。

2)対処療法

ノロウイルスには抗ウイルス薬はありません。吐き気に吐き気止め、胃腸症状に整腸剤を使用することがありますが、下痢がひどくても下痢止めは使用しないでください。ウイルスが体内から排出されるのを妨げて回復を遅らせてしまいます。 症状は3日程度で改善しますが、数週間ウイルスを排出しますので、人にうつさないように(1)手洗いの励行、(2)洗濯物を別にする、(3)入浴は最後もしくはシャワーのみにするなどの配慮が必要です。

嘔吐物の処理方法

嘔吐物を処理する場合は、飛び散らないように拭き取るのが重要です。

処理する前に準備するもの

手袋、マスク、ガウンやエプロン、拭き取るための布やペーパータオル、ビニール袋、次亜塩素酸ナトリウム、専用バケツ

処理の手順

1.次亜塩素酸ナトリウム溶液を用意する。
濃度1%(原液キャップ1杯(5ml)を500mlの水で溶かす)で作る。
2.1の次亜塩素酸ナトリウム溶液で湿らせた布やペーパーで覆うようにして拭き取る。
3.拭き取ったもの、手袋などビニール袋にまとめてしっかり口をとじ廃棄する。
使用した手袋などは捨ててしまうのが理想です。また、処理する人以外は、なるべく近寄らないようにしましょう。

感染力の強いノロウィルスは本人の症状がおさまっても一カ月程はウィルスをまきちらしてしまいます。そのことを念頭に入れ、行動しましょう。

制作:NPO法人芸術家のくすり箱 文:瀬尾理利子(横浜市スポーツ医科学センター) [2017.7作成]