芸術家のくすり箱は、ダンサー・音楽家・俳優・スタッフの「ヘルスケア」をサポートし、芸術家と医師・治療師・トレーナーをつなぐNPOです。
  • TOP
  • 芸術家のくすり箱とは
  • セミナーに参加する
  • ヘルスケアサポート
  • 実践!芸術家のヘルスケア

私流ヘルスケア:じゅんじゅんさん(ダンサー・振付家・演出家)

プロの指導でカラダが確実に変化!筋肉疲労は銭湯でこまめに解消

芸術家の元気を応援する『芸術家のくすり箱』が、活躍するアーティストの元気の源に迫るインタビューシリーズ第4弾。オリジナリティーあふれる動きと空間使いで、観る人を一瞬にして異空間へといざなうじゅんじゅん氏の登場です。

『サイエンス・フィクション』より【撮影:たきしまひろよし】

----日々のカラダ作りはどうしていますか?
「リハーサルがないときは、週に3〜4回、スポーツセンターでトレーニングをしています。以前腰を痛めた時、パーソナルトレーナーに指導してもらったことがあり、そのときのメニューをベースに、エアロバイクやストレッチなどをやっています。
トレーナーからは、トレーニングごとに、どういう姿勢で、どの筋肉を、どういうタイミングで力を使い、呼吸はどうするかなど、かなり細かく意識することを教えてもらいました。そうするとカラダが確実に変化していったんですね。動きをただ真似るのとは、全然効果が違う。とても勉強になったし、僕にとって強みにもなりました。
それから、食事は毎食記録しています。それまで食事の内容は、まったく気にしていませんでした。それが記録を書くようになってからは、食べ過ぎているからやめておこうとか、野菜が足りてないなとか、今日はこういう食事だから調子いいのかなと思ったりするんです。ざっくり見るだけですが、"食べること"への意識が変わりましたね」

----「調子が悪いな」と思ったときには、どんな対処をしますか?
「スポーツマッサージにいきます。お世話になっている先生に教えてもらったのは、銭湯通い。ケガにつながる筋肉疲労を溜めないためには、大きな湯船につかることが、効果絶大らしいですね。なんといっても気持ちいいです。それから、故障をした経験から、ちょっとカラダに違和感を感じたら、稽古をやめてケアをしようと考えるようになりました。稽古を続けてケガをしてしまうのは、絶対にイヤなので、稽古をやめる勇気みたいなものが身についたんですね」

7年前から書き始めた日記。パソコンではなく、手書きだからこそ達成感が味わえる。

----アーティストとして元気に活躍するために心掛けることは?
「"精神"が元気であるように心掛けています。この仕事って、アイデアを考えたり書き付けたり、物を読んで情報を入れることも仕事なのですが、それらって達成感が得づらいんですね。『今日は何をやったんだろう?』ってヘコむことも。それで、僕にとって重要なのが、日記を書くことです。  毎朝、仕事場に入ってまず最初に、前日のことを日記に書くと、積み上がっていることが確認でき、精神的な安定につながります。書いている時の集中感が気持ちいい。それに、書いて勢いをつけて1日を始めることで、生活のリズムができます。観たものや出かけたところは必ず書きますし、ムカついたことを書きなぐることも。文字がびっしりで、まるで獄中日記みたいになっていますけどね(笑)。  昨年、芝居に出演したのですが、すばらしい役者さんたちとご一緒させてもらって感じたことがあります。年齢やキャリアに関係なく、本番前に限らず、風邪、のどに対する対策や、稽古前のストレッチなどをとても謙虚に、そして真摯に取り組んでいました。"仕事であるという意識""舞台人としての覚悟"を目の当たりにして、とても勉強になりました」

インタビュー中、「勉強になる」を繰り返していたじゅんじゅんさん。あらゆる情報を取り込み昇華させるからこそ、シンプルでいて奥深い"じゅんじゅんワールド"が生まれるのですね。カラダについてもしっかり考え、実行されているじゅんじゅんさんが、これからもダンス界をどんどん引っ張っていってくれることを期待します!

じゅんじゅん:パフォーマンスシアター・水と油。大学時代よりマイムを始める。その後、コンテンポラリー・ダンスの活動も開始し、95年にパフォーマンスシアター・「水と油」を結成、国内外で活躍。05年芸術家のくすり箱ヘルスケア助成を受け、腰の故障から舞台復帰を果たす。06年、「水と油」の活動休止を機にソロ活動を開始。ダンサーとしてのみならず、舞台上の時空間を巧みに操る奇想天外なアイデアにあふれた演出、キレのある動きを用いた振付でも注目を集めている。野村萬斎主演・演出「国盗人」にも出演。07年1月「横浜ダンスコレクションR」ソロ・デュオコンペティションにて発表したソロ作品『瞬きの音』で「審査員賞」を受賞。

制作:NPO法人芸術家のくすり箱 
[雑誌 『dance dance dance(DDD)』(フラックスパブリッシング発行)2008年1月掲載記事を転載しています。]