パフォーマーに役立つテーピング
「跳ぶ、着地する、捻る」という動作にかけてはオリンピック種目に決してひけをとらないパフォーミング・アーツ(ダンス、演劇等)では、ケガ(急性外傷や慢性障害)が数多く発生します。ケガは発生直後の応急処置やその後のリハビリテーションによってきちんと管理されるべきですが、テーピングも管理方法の一つです。一般的にテーピングは関節を固定する目的で行われますが、細やかな感覚が必要なパフォーマーには、ケガの悪化を防ぎながらも、なるべく動きを妨げないテーピングの方法が役立ちます。ここでは、そのようなテーピングに適した柔らかいテープによる、足首と外反母趾のためのテーピングを紹介しましょう。
自分でできるテーピング 1. 足首のテーピング
このテーピングは、足首に何となく痛みや違和感があったり不安定感を覚えたりする際に試してみると良いでしょう。使用するのは柔らかい「キネシオ」タイプのテープですので、関節が固定される感じはほとんどなく、安定感が増します。
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足首の汗や埃をきれいに拭き取ります。50mm幅のテープを、長さ約20cmカットし、その両端を真ん中からそれぞれ約7cm縦に切ります。
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足首を90度の角度にして、テープの両端を引っ張りながら足首の前方中心に貼り、二股に分かれた両端を、足首を囲むように巻きます。
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次に、25mm幅のテープ(なければ50mm幅のテープを縦にカットして使用する)2本を使って踵(かかと)を左右から挟み込むように引っ張りながら巻きます(ヒールロック)。テープは足首2周分くらいの長さを目安に2本使います。
内くるぶしの少し上から、螺旋状に外側の下に向かいます(1)
まずアキレス腱の後ろを回り、内側からかかとを包んだら、上に向かって巻き上げます(2)
足の甲を横切るくらいのところで巻き終えます(3)
(1)〜(3)の左右対称に巻きます。外くるぶしの少し上から螺旋状に内側の下に向かいます。まずアキレス腱の後ろを回り、外側からかかとを包んだら、上に向かって巻き上げます。足の甲を横切るくらいのところで巻き終えます。(4)
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必要に応じて2〜3の手順を繰り返します。繰り返すと、関節の固定感が若干増します。
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必要であれば、50mm幅のテープで足首全体をゆるく巻き、上記のテーピングが剥がれないようにすることもできます。
POINT!
テープはシワが寄らないように均質に巻くのが理想です。また、ここに示した方法を基本として、自分なりの方法を考案するのも楽しいものです。
動画解説はこちら
日頃からのちょっとしたトレーニング
足首の痛みや不安感はテーピングでは根本的には解決できません。テーピングの前でも後でも良いですから(前をお勧めします)、足指や足首の筋力トレーニングを必ず実行して下さい。
タオルギャザー
かかとを床につけたまま、つま先だけでなく、足指の底全体を使ってタオルを手前にたぐり寄せます
足首エクササイズ
タオルやチューブを用いて抵抗を加え、足首の筋力を鍛えます
POINT!
患部に腫れや熱感や発赤がある場合は安静にしてアイシングをするべきでしょう。また、痛みが強い場合や持続する場合は医師の診断を受けるようにしてください。トレーニング後に腫れや痛みが増してこないのであれば、トレーニングはOKです。
こんな時は病院へ!
テーピングはあくまでも応急的な使い方に限定されます。長期間にわたって痛みや不安定感がなくならない場合、あるいは急性の大きなケガをした場合は必ず整形外科の診断を受けましょう。思わぬ問題が隠れていることがありますし、早期発見、早期治療にまさるものはありません。
制作:NPO法人芸術家のくすり箱 文:中村千秋(早稲田大学スポーツ科学学術院准教授) [2010.8作成 / 映像2012.2作成]